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「剪定と整枝」植物の気持ちに添った枝の切り方

庭仕事講座

「フローラルガーデンの庭仕事」H29年10月20日の内容です。次回は11月17日「景色を作る植物達」植物の名前と分類の基本。
■ フローラルガーデンの庭仕事講座/毎月第3金曜日 10:00〜11:30
イギリスのガーデン本を読み解きながら庭目線の園芸基礎知識を学ぶ勉強会。
園芸と庭づくりの基礎を学ぶとともにフローラルガーデンの植物について説明します。
〈講師〉株式会社フィーカ 近藤かおり(フローラルガーデンよさみチーフガーデナー) 
〈定員〉70名 〈参加費〉 無料
*お申込みはフローラルガーデン事務局0566-29-4330またはinfo@garden-yosami.jpまで


ワイルドオーツ Chasmanthium latifolium

「剪定と整枝」植物の気持ちに添った枝の切り方

What is pruning ? 〜 剪定って? 〜
ガーデナーの悩みの種、剪定。しかし、多くの植物はそれを必要としていません。悩みを解決する良い方法は、考えるのをやめ、自分自身に問いかけることです。
「あなたは初め、なぜ剪定が必要だと思ったの?」
by Alan Titchmarsh

1、草本性植物の剪定(一年草、二年草、草本性多年草)

① ストッピング ・・・若い株の枝数を増やし株にボリュームを出させ花付きを良くする作業
まっすぐ1本伸びた茎を「止める」ことでブッシュ状にする作業。5〜7.5cmで切ると地際から枝を出し、より良い形で葉や花をつけます。

② ピンチングアウト・・・成熟した株の切り戻し、整枝
やわらかい芽やダメージを受けた芽、古い枝を切り戻す作業。切り戻すことで植物自身が新しい芽を動かすのを手伝うことが出来ます。花の咲く位置を低くしたり、葉を形よく作ったりすることも可能で、夏咲きの植物にこまめに行うと花付きが良くなります。

③ 花がら摘み・・・株を老化させず花を長く楽しむためと美しい景色を維持するために行う作業
花がら摘みは植物に種をつけさせないようにする作業です。しかし、植物は常に花芽をつけることをし続け枯れるまで種を生み出し続けるでしょう。花がらを摘む位置やタイミングはそれぞれの植物に合わせます。

【長い花柄の花】長い花柄の付け根から花柄ごと取り去ります。成長点の周りは余分な花柄を残さずきれいに保つようにしましょう。(ex.ゼラニウム)
【短い花柄の多花性の花】個々にしぼんだ花を指でつまんでとります。(ex.フクシア、ペチュニア)
【バラ類】バラにとって花がら摘みは良い剪定になります。剪定ばさみを使い、枯れた花とともに15〜23cm切り戻します。切るのは葉の付け根のすぐ上。茎の下に新しいシュートを見つけた場合はその上で切ると早く新しい花芽がつきます。房咲きの花は咲き始めの1つだけは先に、終わった時切り取ります。房咲きの花全体が咲き終わった時は15〜23cm切り戻すと次の花付きが良くなります。個々の花はしぼむ度に摘み取ります。
【球根類】茎の上のしぼんだ花のみ摘んでとります。茎はそのまま残し、枯れかけている茎の中の栄養分を球根にもどすようにします。それは次の年の花を大きく咲かせる手助けとなります。
【細かい花のかたまり】細かい花の花がら摘みは不可能です。神経質に気にしなくても良いです。時々伸びてきた花を切り戻し、形を整える程度にしましょう。(ex.アリッサム)

2、木質性植物の剪定(樹木、シュラブ、木質性多年草)

① 形を作る剪定(発達させるために行う、形を改良する早い段階の整枝)
② 植物の形と習性を読む剪定(シュートを出させたり、弱い部分を復活させたりする)
③ 大きさを抑える剪定(高さや広がりを制限する)
④ 必要のない枝を取り除く剪定(弱枝やクロス枝、こすれ合う過密な成長枝を取り去る)
⑤ 4D枝を取り除く剪定(DEAD・枯枝、DISEASED・病気の枝、DYING・死にかけている枝、DAMAGED・痛んだ枝を取り去る)
⑥ 開花を改良する剪定(咲かせたい位置での開花、剪定により花付きを改善)
⑦ 実をつけさせる剪定(実付きを改善)
⑧ 葉や茎の成長と形、色を改良する剪定(強剪定で新芽を出させる)
⑨ 装飾的剪定(装飾的に形作るため、トピアリー、ヘッジ)
⑩ 先祖返りした枝やふつうでない枝を取り去る剪定(斑入り葉の中の緑葉、ひこばえ)

3、剪定のポイント

① シュラブ剪定のポイント
A. 葉の付け根の5mm上
B. 芽のすぐ上を切らない
C. 芽の方向を高くして斜めに


通常、葉の付け根、横に茎や芽が出ている部分の5mm上を切ります。芽が確認できていれば、切ることでそこから新しい枝が伸び始めます。休眠状態の芽は避けます。それより高い位置で切らないようにしましょう。なぜなら残った枝が枯れ込み、育てたい芽も一緒に枯らしてしまう可能性があるからです。
芽のすぐ上を切ることは避けます。すぐ上で切ってしまうと枝が成長するのに十分な場所が取れず、その芽から新しい枝を伸ばすのをやめてしまうでしょう。
芽が一つの場合、芽の方向を高くして斜めにカットします。芽が両方についている場合は付け根から5mm上をまっすぐに切ります。 

② 春咲きシュラブの剪定
いくつかの春咲きシュラブは毎年剪定をしないと暴れて汚くなります。放置された植物は枝が古くなり、花付きが悪くなります。花が咲き終わった後に力強い良い芽や若いシュートを残すようにして花がらと一緒に枝を切り戻します。毎年切り戻す事で春の花を多く保つことができます。6月下旬以降に咲くシュラブは晩冬から早春に切り戻します。

③ 強剪定向きシュラブの冬の剪定
いくつかのシュラブは強剪定に向いています。サンゴミズキや柳は毎年または1年おきにほとんど地際まで切り戻します。作業する時期は晩冬から早春の芽が動き出す直前、植物が成長し始める時に行います。これは古い枝を取り除き、カラフルで美しい新しい樹皮のシュートを出させるためです。冬の間に、枝を出すために必要な肥料を与え、新しい成長のための準備をします。

④ バラの剪定
A. 芽またはシュートの上で切る
B. 株立ち(bush)は冬に強剪定(地面から15〜23cm)
C. シュラブ(shrub)は花後に切り戻し(枝先から10〜15cm)


大輪または房咲きの株立ちのバラ(ハイブリダ、フロリバンダ)は毎年晩冬から早春に大きく切り戻します。すべての茎を地面から15〜23cmの位置になるようにカットします。枯れ枝や細い枝、弱い枝を取り除きながら強い枝を残します。ハードな剪定が難しい場合、新しいシュートを意識して育てます。外向きの芽の上を切るようにしましょう。
シュラブローズは春の強剪定は必要ありません。初夏に花の咲き終わった枝を10〜15cm切り戻します。

⑤ クレマチスの剪定
A. 原種系(タングチカ、オリエンタリス等)は剪定不要
B. 大輪系園芸品種(ハイブリダ等)は冬に強剪定
C. 小、中輪系園芸品種(ビチセラ、テキセンシス等)は春に芽を確認して剪定


いくつかのクレマチスは剪定が必要ですが必要のないものもあります。一番良い方法は購入する時に確認することです。タングチカやオリエンタリスやその園芸品種は通常剪定を必要としません。開花期の長いハイブリダは晩夏から初秋まで咲き続けます。それらは強く剪定する必要があります。冬に地面から30cmの位置までの切り戻しを2月下旬までには行いましょう。ビチセラやテキセンシスは春に勢いのある芽を確認して地際まで切り戻すことができます。
もちろん大きくなりすぎたクレマチスは強く切り戻す必要があります。晩冬に手を入れ、春からの成長に備えます。

*上記の剪定方法はイギリスで行われている方法です。日本での剪定と異なる場合がありますので参考程度にして下さい。

 〈参考文献〉
The Complete How to be a Gardener / Alan Titchmarsh


安城農林高校の庭仕事講座で使用した資料