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「景色を作る植物達」植物の名前と分類の基本

庭仕事講座

「フローラルガーデンの庭仕事」H29年11月17日の内容です。次回は12月15日「植物のパーツ」構造と機能。
■ フローラルガーデンの庭仕事講座/毎月第3金曜日 10:00〜11:30
イギリスのガーデン本を読み解きながら庭目線の園芸基礎知識を学ぶ勉強会。
園芸と庭づくりの基礎を学ぶとともにフローラルガーデンの植物について説明します。
〈講師〉株式会社フィーカ 近藤かおり(フローラルガーデンよさみチーフガーデナー) 
〈定員〉70名 〈参加費〉 無料
*お申込みはフローラルガーデン事務局0566-29-4330またはinfo@garden-yosami.jpまで


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「景色をつくる植物達」植物の名前と分類の基本

What is a gardener’s latin ?  〜 ガーデナーのラテン語って? 〜
すべてのガーデナーはラテン語の植物名を知ることが大切です。はじめは混乱するかもしれませんが、隠されたキーワードを発見すると、名前が謎を解いてくれます。
by Richard Bird

1、植物の名前と分類

① 植物の学名と科名
スウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネ(1707ー1778)が、花の構造から種類を区別、分類し、二名法と呼ばれる方法で表した植物のラテン語名を「学名」と言います。基本的な学名は初めに「属(グループ名)」2番目に「種(個体名)」がついています。
また、幾つかの同じ特徴を持つ属を集めて「科(ファミリー)」としてまとめられています。科名だけでもわかるとその植物のおおよその性質はわかります。
例:Helleborus orientalis ヘレボラス(クリスマスローズ)属のオリエンタリスはキンポウゲ科(Ranunculaceae)

② 植物の和名と英名
植物の名前は地方によってそれぞれ呼び名がつけられてきました。同じ植物でも俗名や方言名があり、個体を区別することが難しいこともあります。日本人が呼んでいた日本語の名前が和名、英語圏の人が呼んでいた名前が英名です。昔から栽培されてきた植物には和名がついているものが多く、近年海外から導入された植物は学名や英名をそのままカタカナにして表記しているものが多くあります。個体を特定するためにはできるだけラテン語の学名で覚えることをお勧めします。

③ 植物の分類群
植物は性質の類似性や相違性をもとにいくつか仲間に分け、階級を持った群にまとめられています。リンネの時代には種内の分類はありませんでしたが、ダーウィン以後、生物の変異性を認められるようになりました。大きいグループの順に「目」→「科」→「属」→「種(変種、品種)」

Order/目(もく)・・・語尾はすべて-ales
Family/科(か)・・・語尾はすべて-aceae
Genus/属(ぞく) ・・・人名でいう名字や会社の所属にあたる
Species/種(しゅ)・・・オリジナルに対して花色や葉色で区別する。変種(Variety)、品種(Form)に分かれる。

2、植物の性質別分類

① 一年草(Annuals)
1年間のうちに発芽、成長、開花、種の成熟、枯死のライフサイクルが完結するものを一年草といいます。 日なた好きの植物が多く、種で増やします。原産地の気候に近い場所ではこぼれ種で増えますが、種をとって保管し、適切な時期に管理しながら種まきをする方が発芽率が良くなります。庭で植栽される一年草は通常ひとつのシーズンで一生が終わりますが、季節の花壇苗のようにひとつのシーズンが終わるごとに抜き取られる一年草扱いの多年草もあります。

② 二年草(Biennials)
発芽した年、1年目は株が大きくなるだけで2年目に花をつける植物。 比較的種で増やしやすいので、耐寒性一年草のように秋に種まきをします。 大株になるので庭の中で存在感のある花になります。花が咲き種をつけると株が枯れるものがほとんどですが、数年株が残り、短命の多年草のように使うことができるものもあります。ジギタリス、バーバスカム等

③ 多年草(Perennials)
3年以上生育できる草本植物(樹木に対して草もの)のことを多年草と言います。その中でも秋に地上部が枯れ込み根だけで冬越し、春に再び成長する植物が宿根草です。また、茎が木質化しての残る丈の低い亜低木も含めて多年草と言っています。基本的に宿根草は耐寒性のあるものですが多年草は耐寒性のあるものからないものまで様々です。数年で枯れるものもあるのでさし木や種で増やすと良いでしょう。

④ 樹木(Tree・Shrub)
茎が木質化し固くなり、数十年以上成長し続ける植物。

⑤ つる植物(Climbing plants)
壁やパーゴラ、アーチなどに絡ませて景色を作ります。常緑性と落葉性があります。落葉性のものは通常冬に休眠のため葉を落としますが、夏に葉を落として休眠するものもあります。

◎植物の性質別分類表

① 一年草
【耐寒性一年草】 Hardy annuals(HA)
  特徴・・・耐寒性あり(ー10℃くらいまで)。日当たりを好む。春の花壇向き
  代表的な植物・・・アリッサム、ビオラ、アグロステンマ等
【半耐寒性一年草】 Half-hardy annuals(HHA)
  特徴・・・耐寒ー4℃以上。日当たりを好む。春または夏花壇向き
  代表的な植物・・・ヘリオフィラ、ハナビシソウ等
【非耐寒性一年草】 Tender annuals
  特徴・・・0℃以下は生育不可。夏花壇向き
  代表的な植物・・・アゲラタム、ベゴニア等
【一年草扱いの多年草】HHP treat as HHA
  特徴・・・0℃以下は生育不可。種から一年草のように育てるか、挿し木で栄養繁殖させる。夏花壇向き
  代表的な植物・・・コリウス、アンゲロニア、ハイビスカス等

② 二年草 
   Biennials  
  特徴・・・耐寒性あり。種をつけると枯死。種で増やしやすい
  代表的な植物・・・ジギタリス、アンチューサ等

③ 多年草
【落葉耐寒性多年草(宿根草)】Hardy perennials(HP)、Perennial herbaceous plants
  特徴・・・半日陰向き/夏の直射日光を避けた東向きの花壇や日陰
       日向向き/直射日光OK
  代表的な植物・・・半日陰向き/フロックス、エキナセア等
           日なた向き/宿根サルビア等
【常緑耐寒性多年草】Hardy perennials(HP)
  特徴・・・耐寒性あり(ー10℃くらいまで)日当たりを好み、乾燥に強い
  代表的な植物・・・ラベンダー、ローズマリー、タイム等
【半耐寒性多年草】Half-hardy perennial(HHP)
  特徴・・・耐寒ー4℃以上日当たりを好み、乾燥に強い
  代表的な植物・・・常緑半耐寒性多年草/ゼラニウム、ペラルゴニウム等
           落葉半耐寒性多年草/レモンバーベナ
【非耐寒性多年草】Tender perennial
  特徴・・・耐寒0℃以上(0℃以下は生育不可)日当たりを好み、乾燥に強い
  代表的な植物・・・コリウス、アンゲロニア、ハイビスカス等

④ 樹木
【落葉高木】Deciduous tree
  特徴・・・秋に葉を落として休眠し、春に芽を出して成長
  代表的な植物・・・カツラ、ジューンベリー、ヤマモミジ等
【常緑高木】Evergreen tree
  特徴・・・葉をつけたまま冬越しし、新芽と入れ替わりで葉を落とす
  代表的な植物・・・オリーブ、シマトネリコ、常緑ヤマボウシ等
【落葉低木】Deciduous shrub
  特徴・・・秋に葉を落として休眠し、春に芽を出して成長
  代表的な植物・・・コデマリ、ユキヤナギ、ウツギ等
【常緑低木】Evergreen shrub
  特徴・・・葉をつけたまま冬越しし、新芽と入れ替わりで葉を落とす
  代表的な植物・・・ツゲ、サツキ、ボックスウッド等

⑤ つる植物
 Climbing plants
  特徴・・・つる状に茎を伸ばし、他のものに巻きつきながら成長
  代表的な植物・・・クレマチス、ハニーサックル等

 〈参考文献〉
A GARDENER’S LATIN / Richard Bird
The Complete How to be a Gardener / Alan Titchmarsh
植物系等分類の基礎 / 山岸高旺 編